刺しゅう

縫製糸を使った刺繍のエラーについて

2大刺繍糸メーカーと縫製糸刺繍の仕上がり比較

下の画像はメジャーな刺しゅう糸メーカー「パールヨット」「キングスター」2種類と、縫製糸「キングスパン」を使って、コンピューター刺繍ミシン「ブラザーPR1000e」で刺繍をした後の仕上がりを比べた画像です。
結果を先に述べると、当然ですが刺しゅう糸を使った方が精度・速度ともに良好です。

縫製糸で刺繍が作れないわけではないのですが、デメリットがあるので扱いには注意しないといけません。

シャッペスパン・キングスパンで刺しゅうをする

縫製糸のみで1年も刺繍していました💀

縫製糸を選んでしまった理由は、刺繍ってすごくたくさんの色数を使うので、刺繍専用糸よりも縫製糸の「キングスパン」の方が安くて色が揃えやすかったって理由が一番大きいです。
(凝った刺繍がしたかったら、少なくとも100色は持っていた方が良いと思います。絵具と違って混色ができないので。)

余談ですがキングスパンはモノタロウ等で購入すると、曜日限定クーポンを使えば3000mの業務用サイズが1個300円代で購入できてました。安いです。
キングスターやパールヨットは高いもので800円くらいします。専門店では400円代くらいで購入できるところもありますが。

私はそのまま1年くらい縫製ミシン糸「キングスパン」のみで刺繍を制作していました。その間よく不具合が発生していたので、結果的に刺繍専用のミシン糸「パールヨット(レーヨン)」に全部変えました💀

刺繍は特に繊細な作業なので、やっぱり専用の道具を使った方が良いですね。
でもどうして刺繍ミシン糸が刺繍に向いているのかなどが分かったので、遠回りになってしまいましたがとっても勉強になりました。

縫製糸刺繍のデメリット1「毛羽立ち」

縫製糸がなぜ刺繍に向いていないのか、1つ目は「毛羽立ち」による影響です。

↑真ん中が縫製糸「キングスパン」。左右の刺繍糸に比べて明らかに毛羽立ってます。

刺繍はすごく小さな単位の繊細な動作の積み重ねで作るものなので、糸がきれいに1本にまとまっていないと不具合の元になります。下のような問題が引き起こされます。

  • 糸が針からよく外れる
  • 糸が絡んでだまになる
  • 自動糸切りが上手くいかない
  • 刺しゅう中の衝撃で糸の繊維が舞い、ミシンのいたるところにホコリがたまる→スムーズに作動しないなど、様々な不具合の原因に繋がる

不具合でミシンがよく止まるので、5cm*5cm程の1つの刺繍に1時間かかったこともあります。相当なストレスです。

それと使い続けると、ミシンが動いているときの音が、刺繍糸を使っている時に比べてうるさかった覚えがあります。縫製糸の影響で、ミシンが通常の動作ができないことによるものだと思います。

縫製糸刺繍のデメリット2「精度が悪い」


縫製糸で刺繍をするデメリット、2つ目は「刺繍の精度が悪いこと」です。

縫製糸のもこもこ感と縮みについて

比べてみると、刺繍糸はキメ細かく、縫製糸はもこっとした印象に見えます。
私は初め、縫製糸のもこもこ感が可愛くていいじゃん☁と思っていました。

しかし太くもこっとした刺繍がしたかったら縫製糸を使うのではなく、ウレタン刺繍(刺繍の中にウレタンを閉じ込める方法。キャップなどでよく見られます。)をするか、糸の密度が厚い刺しゅうデータ作る、または太い糸を使う…といった方法を取られた方が良いです。

ちなみに画像の糸の太さは、パールヨットが120d/2でキングスパンが#60です。どちらもよく使われる通常の太さの糸です。

なぜそういえるかというと、縫製糸がもこもこ刺繍に見えるのは、糸自体が毛羽立っているから一時的にこのように見えるだけだからです。
その後洗濯をしたりして使い込んでいくと、綺麗なもこもこではなくなります。そして洗濯の際、糸の縮みでせっかくの刺繍が縮んでしまいます。
確かに刺繍糸で刺しゅうをしたとしても縮みが起こりますが、縫製糸ほどではありません。

仕上がりのシャープさと糸切り効率

通常の刺繍糸はシャープな仕上がりになるので、細かな模様や文字が表情できます。その反対に縫製糸は細かな模様や文字を表現するのに向いていませんでした。

縫製糸で小さな文字を刺繍するとします。「a」「A」「あ」のような、文字の中にドーナッツ状の穴が開いた形状は穴が潰れるという現象がよく起こります。

また「abcd」←を刺繍するとすると、糸切り回数が少なくとも4回になりますが、縫製糸は特に糸切りエラーが起こりやすいため、ミシンが止まる回数が増えます。

ミシンの糸切りが上手くいかない

↑縫製糸「キングスパン」を使った時の糸切りエラー例

糸のツヤについて

刺繍糸といえばツヤツヤしている質感が特徴ですよね。縫製糸は艶がなく温かみのあるマットな印象です。

シャッペスパン・キングスパンで刺しゅうをする

この縫製糸の質感は魅力的なものがあります。しかし縫製糸を使うと、前述したような不具合が起こってしまう…
そんな時は、刺しゅう糸メーカーのパールヨットから「ソフテーヌ」という名前のシリーズが販売されていますのでそちらを使うと良いと思います。縫製糸のような質感の刺繍をつくることができます。